妹家族が近所に引っ越してきてから、母を交えて家族で過ごす時間が増えた。
母はもともと、車で5分程度の近所に住んでいる。
週末になると、みんなで集まって食事をしたり、家の庭でバーベキューしたり。
そんな賑やかなひとときが、当たり前のように過ぎていく。
でもね、俺はその「当たり前」がどれだけ大切なものなのか知ってる。
俺の父が亡くなったのは、子どもたちがまだ小学生のころだった。
突然のことで、最初は実感が湧かなかったんだけど、葬儀を終え、家に帰ったときにようやく気づいたんだ。
「ああ、もう父には会えないんだ」って。
それまで俺は、親はいつまでもそこにいるものだと思ってた。
帰れば笑顔で迎えてくれる、頼ればいつでも相談に乗ってくれる、そんな当たり前の存在だった。
でも、それはただの思い込みでしかない。
父を失って初めて「親はずっと近くで見守ってくれるわけじゃないんだ」と気づいた。
それからだよ、母との時間をもっと大事にしようと思うようになったのは。
昔は年に1回帰省するくらいだったけど、もしあのペースのままだったら、母ともあと数回しか会えない計算になる。
数字にすると、あまりにも現実的でちょっと怖くなるよね。
だから今、こうして近くにいて頻繁に顔を見られる状況は、本当にありがたいと思う。
「親と一緒に暮らしてる独身男性」を、世間では「子供部屋おじさん」とか揶揄することがあるけど、私にはそれが実は親孝行なんじゃないかと思える。
こまめに顔を合わせて、ちょっとした世間話をするだけでも親にとっては安心だと思うし、何よりも「まだ一緒にいる時間がある」ことが有難いんだよ。本当に。
我が家の高校生の息子たちも、いずれは家を出て、それぞれの道を進む日が来るだろう。
そのとき、彼らが「また帰ろう」と思える実家を守るのが私の役目だと思ってる。
今は、ふと父の不在を思い出しながら、母と過ごす時間を大事にしていきたいなと。
それじゃ。あっちけいでした。